採用動画の構成と台本の作り方|運送・建設のシーン別記入例
採用動画に入れたい情報はあるのに、映像を並べる順番が決まらない。撮影した社員の話を、どこまで字幕にするか迷う。そのようなときは、撮影や編集を始める前に「誰の、どの疑問に答える動画か」を一つに絞り、シーンごとに映像と言葉を対応させます。
この記事では、企業の採用担当者が制作担当へ渡せる構成・台本の作り方を解説します。運送会社の60秒、建設会社の90秒の架空例も紹介します。秒数は説明用の配分であり、応募を増やす最適値や成果を保証するものではありません。
採用動画の構成・台本・絵コンテは何が違う?
本記事では、構成を「伝える順序」、台本を「各場面の映像・言葉・字幕の対応」、絵コンテを「画面のイメージ」と整理します。制作会社によって呼び方や書式は異なるため、書類を増やすことより、完成像を共有できることを優先しましょう。
- 構成:職種の紹介→仕事の具体像→教わり方→募集情報の確認先、という流れを決める。
- 台本:どの映像に、誰の説明やどの字幕を合わせるかをシーン単位で書く。
- 絵コンテ:人物・作業・字幕の位置など、文章だけでは伝わりにくい画面を簡単な図で示す。
台本は社員に理想的な回答を暗記してもらうための書類ではありません。説明ナレーションは自社の事実から作り、社員の発言は実際の取材内容から選びます。質問や収録準備を先に整理したい場合は、採用動画の社員インタビュー質問18選を参照してください。
構成を作る前に決める4つのこと
1.一つの募集単位と、視聴者の疑問を決める
「会社を知ってほしい」だけでは情報を選びにくくなります。「ある営業所の配送職を検討している人に、出発前から帰着後までの仕事を伝える」「施工管理の未経験者に、入社後に何を教わるのかを伝える」のように、職種・拠点・知りたいことを具体化します。
複数職種を一度に説明する必要がある場合は、共通部分と職種別部分を分けます。一つの場面が全職種・全拠点の実態を表しているような見せ方は避けましょう。
2.説明したいことと、見せられる事実を分ける
「働きやすい」「成長できる」という結論だけでは、何がそうなのか伝わりません。担当する作業、教育の進め方、質問できる相手など、確認できる事実に置き換えます。映像を用意できない内容は、確認済みの説明図や安全な場所での説明にする方法もあります。
まだ決まっていない制度や、特定の社員だけの経験は、そのまま全員に当てはまる説明にしません。台本では「確認待ち」として残し、確認が済むまで公開用の言い切りに変えないことが大切です。
3.掲載先の画面と音声の使われ方を決める
採用サイト内で見る動画なのか、縦型のSNS動画なのかで、人物や字幕の配置は変わります。制作担当には掲載先・画面の縦横・表示する場所を伝え、字幕が投稿画面のボタン等に重ならないか、実際の表示で確かめます。音声を出さない視聴でも要点が分かるように、職種名や重要な説明は字幕にも残します。
媒体の選び方や投稿運用は本記事の範囲とは分け、必要に応じて運送業のTikTok採用活用などの媒体別記事で検討してください。
4.見終えた後の確認先を一つにする
最後の場面には、読者企業の募集要項や採用ページなど、次に見てほしい場所を示します。動画で紹介した職種・営業所・条件と、遷移先の内容が一致しているかが重要です。スマートフォンで視聴している人には、画面内のQRコードだけでなく、実際に開けるリンク等も用意します。
応募先ページの構成を整理する場合は、採用LPの作り方と公開前チェックリストが参考になります。動画に全情報を詰め込むことと、募集時に必要な情報を適切に明示することは分けて考えましょう。
シーン別台本に書く項目と、埋める順番
最初からナレーションを書き始めず、「その場面で何を理解してほしいか」から埋めます。以下は実務用の整理例であり、業界共通の必須書式ではありません。
- シーン番号・仮の秒数:開始と終了の目安。読み合わせと仮編集で調整する。
- 伝える情報:その場面で答える疑問を一つ書く。
- 映像:撮る作業・場所・人物、または図解。素材があるか、使用できるかも確認する。
- ナレーション・発言:説明文と実取材の発言を区別する。未収録の社員コメントを実際の証言のように書かない。
- 字幕:音声をそのまま細かい文字で詰めず、要点を読みやすく示す。ただし条件や例外を省いて意味を変えない。
- 確認先・状態:業務担当者や募集要項などの確認元、確認日、未確認事項を制作側で管理する。
例えば「未経験でも安心」という字幕を先に決めるのではなく、「誰が、どの業務を、どのような手順で教えるか」を確認してから説明します。台本内の確認先や担当者メモは内部用であり、そのまま公開字幕にしません。以降の例にある仮文言も、確認なしで完成原稿として使用しないでください。
運送会社の構成・台本例:60秒で仕事の流れを伝える
以下は架空の編集例です。ある営業所の配送職について、仕事内容を確認したい人を想定しています。実在企業の業務・社員の証言・採用成果ではありません。担当業務、運行、使用車両、教育方法は会社や募集単位で異なります。自社の事実に差し替えてから使用してください。
シーン1|0〜8秒:何の仕事を紹介するか
伝える情報:対象となる職種と拠点。
映像:安全な場所に停車中の車両と営業所。
仮ナレーション:「この営業所の配送職について、仕事の流れを紹介します。」
字幕案:「配送職の仕事の流れ」+確認済みの営業所名。
確認先:募集要項・営業所責任者。映る車両と募集職種が対応しているか。
シーン2|8〜25秒:出発前から配送まで
伝える情報:実際に担当する作業。
映像:確認済みの出発準備、荷物の確認、配送の流れを示す図。撮影不可の場所は無理に映さない。
仮ナレーション:「出発前には[確認済みの作業]を行います。配送では[担当する範囲]を受け持ちます。」
字幕案:「出発前の準備」「配送で担当する作業」。
確認先:運行・業務担当者。配送地域、荷扱い、勤務の流れを一例として紹介する場合は、その範囲も明記する。
シーン3|25〜43秒:入社後にどう教わるか
伝える情報:教育の内容と質問先。
映像:安全な場所で手順を説明する場面、または実際の教育の流れを整理した図。
仮ナレーション:「入社後は[確認済みの教育内容]から始めます。分からないことは[実際の相談先]に確認できます。」
字幕案:「最初に教わること」「困ったときの確認先」。
確認先:教育担当者。全員に同じ期間や内容を保証していないか、対象者や条件を確認する。
シーン4|43〜53秒:配送以外の業務も示す
伝える情報:帰着後などに担当する作業。
映像:業務の記録や報告の場面。個人情報・配送先情報が映る帳票は使わない。
仮ナレーション:「帰着後には[確認済みの作業]を行います。」
字幕案:「帰着後の業務」。
確認先:営業所責任者。運転以外の担当業務が抜けていないか。
シーン5|53〜60秒:募集情報の確認先へつなぐ
伝える情報:現在の募集条件を確認できる場所。
映像:企業の採用ページへの案内。
仮ナレーション:「応募条件や勤務の詳細は、当社の募集要項をご確認ください。」
字幕案:「募集要項はこちら」+掲載先に適したリンク案内。
確認先:採用担当者。該当職種のページが開くか、動画と募集情報に矛盾がないか。
この配分では、仕事内容を伝える場面に時間を使っています。インタビューを加えるなら、その分を他の場面から減らすか尺を見直します。音声を速く読めば必ず60秒に収まる、という運用にはしません。
建設会社の構成・台本例:90秒で未経験者の仕事理解を助ける
以下も架空の編集例です。施工管理の仕事を検討している未経験者に、担当業務と学び方を伝える想定です。実際の配置、担当範囲、教育、安全管理は自社で確認してください。現場のルールや必要な資格等を動画の演出で省略することはできません。
シーン1|0〜10秒:紹介する職種を明確にする
伝える情報:施工管理のどの業務を扱う動画か。
映像:撮影許可と安全を確認した現場の遠景、または会議室での説明。
仮ナレーション:「当社の施工管理職について、担当する仕事と入社後の学び方を紹介します。」
字幕案:「施工管理職の仕事と学び方」。
確認先:採用担当者・現場責任者。職種名と実際の担当範囲が一致するか。
シーン2|10〜35秒:業務を具体的な場面で示す
伝える情報:仕事中に何を確認し、誰とやり取りするか。
映像:使ってよい資料での打合せ、確認作業の説明図など。
仮ナレーション:「例えば[確認済みの業務]では、[関係する担当者]と[確認する内容]を共有します。」
字幕案:実際の作業に即した短い見出し。
確認先:現場責任者。撮影用の再現なら実際の現場映像と誤認させず、図面・施主名・位置情報等の公開可否も確認する。
シーン3|35〜60秒:最初に覚えることを示す
伝える情報:入社直後の担当範囲と教育。
映像:教育資料の説明や、安全な場所で指導を受ける場面。
仮ナレーション:「入社後は[最初に学ぶ内容]から取り組みます。[確認済みの指導方法]で仕事を覚えていきます。」
字幕案:「入社後に学ぶ内容」。
確認先:教育担当者。資格や経験が必要な作業を、誰でもすぐ担当できるように説明していないか。
シーン4|60〜78秒:社員の実際の言葉を入れる
伝える情報:入社時に疑問だったことと、その確認方法。
映像:許諾を得た社員のインタビューと、発言に対応する補足映像。
発言欄:実取材後に、採用する発言と素材内の時刻を記入する。取材前は空欄とし、社員の体験談を創作しない。
字幕案:本人の発言の趣旨を変えず、個人の経験だと分かる表示。
確認先:出演本人・制作確認者。前後の発言を切ることで、条件や意味が変わっていないか。
シーン5|78〜90秒:詳しい仕事内容と募集条件の確認先へ
伝える情報:該当職種の募集要項への入口。
映像:企業の採用ページへの案内。
仮ナレーション:「仕事内容や応募条件の詳細は、当社の募集要項をご確認ください。」
字幕案:「施工管理職の募集要項」+実際に開ける導線。
確認先:採用担当者。リンク先の職種、勤務地、条件が動画と対応しているか。
社員の発言が18秒に収まらない場合は、意味を損なう切り貼りをせず、他の説明との重複を減らすか配分を変えます。発言を使えない場合は、確認済みの説明へ構成を戻し、架空の社員コメントで埋めないようにします。
読み合わせと仮編集で確認する5つのポイント
- 映像と言葉が対応しているか:別職種・別拠点の映像を、その募集職種の通常業務に見せていないか。補足映像や再現には必要な説明を付ける。
- 無理なく読める・聞けるか:実際に声に出して時間を測る。説明を詰めるために字幕を極端に小さくせず、実際のスマートフォン表示で確認する。
- 音声なしでも意味が通るか:職種や重要な条件が映像だけで誤解されないか。字幕だけを見ても、対象や例外が欠けていないか。
- 未確認の説明や仮欄が残っていないか:[ ]内の文言、確認待ち、古い募集条件を残さない。確認元と確認日を内部台本でたどれるようにする。
- 次の確認先へ進めるか:紹介した職種のページが開くか、募集終了時の案内や動画の更新・非公開を誰が判断するかを決める。
募集情報は、尺の都合だけで省略しない
動画で紹介する業務・勤務地・待遇は、現在の募集情報とそろえます。厚生労働省の案内では、募集時等に明示すべき労働条件に加え、2024年4月から業務・就業場所の変更の範囲や、有期契約の更新基準等の明示事項が追加されています。
同省のリーフレットは、広告のスペース不足等のやむを得ない場合に、一部の条件を別のタイミングで明示できることも説明しています。その場合も、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに全ての労働条件を明示する必要があります。「短い動画だからリンクだけでよい」と一律に判断せず、募集方法に応じて担当者が確認してください。本記事の台本例は募集要項や労働条件通知書の代わりにはなりません。
出演・素材の利用範囲と、写り込みを確認する
出演者の氏名・顔・声など、個人を識別できる情報の扱いは、利用目的と公開範囲を整理して確認します。個人情報保護委員会の通則編は、利用目的の特定や個人データの安全管理措置について説明しています。
実務上は、掲載する媒体、編集や再利用の範囲、掲載期間、変更時の相談先を出演者と事前にすり合わせ、社内で確認経緯を残しましょう。これらは本記事の運用提案であり、行政が定めた一律の同意書様式ではありません。顧客・施主の情報、車両番号、伝票、図面などが写る場合は公開可否を確認し、不要なものは撮らない・映さない方法を先に検討します。BGMや写真等も、自社の掲載・編集方法で使える権利を確認します。
構成・台本は、採用導線と一緒に仕上げる
採用動画の台本は、視聴者の疑問→見せる事実→映像と言葉の対応→募集情報の確認先、の順で作ると整理しやすくなります。完成後も、動画の公開や再生数だけを採用成果とせず、対象職種への応募や選考とのつながりを確認しましょう。
JobProでは、運送・建設企業の採用支援について相談できます。動画を含む採用施策や導線を検討したい企業の担当者は、運送業の採用支援、建設業の採用支援をご確認ください。こちらは企業向けの支援相談窓口であり、上記の台本例で案内する各企業の求人応募窓口ではありません。
参考資料
- 厚生労働省「2024年4月から、募集時等に明示すべき事項が追加されます」(LL050628需02):募集時の明示事項、明示するタイミング等。2026年9月17日確認。
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」:3-1-1 利用目的の特定、3-4-2 安全管理措置。2026年9月17日確認。