採用LPの作り方|構成例と公開前チェックリスト
採用LPを作るときは、デザインより先に「どの募集について、何を伝え、どこから応募してもらうか」を決めます。仕事内容と条件が揃わないまま写真や応募ボタンを配置すると、見た目は整っていても、求職者が判断に必要な情報を見つけられません。
この記事では、企業の採用担当者が制作担当者と共有できるように、準備する材料、8つの構成ブロック、運送・建設の架空例、公開前の確認手順をまとめます。新しいLPを増やすだけでなく、既存の採用ページを整える場合にも使える手順です。
採用LPとは?採用サイト・求人票との使い分け
採用LP(ランディングページ)は、特定の募集について、仕事や条件、職場の情報、応募方法を一つのページにまとめる受け皿です。広告・SNS・求人媒体などで関心を持った人が、応募前に内容を確かめるために使います。
- 採用LP:特定職種や拠点の募集を説明し、対応する応募先へつなげたいとき。
- 複数ページの採用サイト:複数職種の違い、会社の事業、働き方などを横断して比較してもらいたいとき。
- 求人媒体の求人票:媒体内で仕事を探す人に、募集条件をその媒体の形式で伝えるとき。
同じ職種のページが既にあり、条件も応募先も同じなら、まずそのページの不足を補います。文章だけを言い換えたLPを別URLに増やす必要はありません。一方、職種や勤務地が異なり、条件を読み分けにくい場合は、募集単位を分ける設計を検討します。
LPを作るだけで検索流入や応募が増えるとは限りません。入口となる媒体と、応募後に対応する体制が別途必要です。媒体全体の役割は採用マーケティングの実践手順で整理しています。
手順1:目的と募集単位を一枚にまとめる
制作開始時に、次の5項目を社内で揃えます。判断基準は業務に必要な資格・経験・勤務条件です。年齢や性別などの印象だけで「欲しい人」を描くのではなく、実際に担当する仕事から考えます。
- 募集単位:職種、拠点、雇用形態、担当業務。運送なら車両や運行、建設なら工種や担当範囲も確認する。
- ページの目的:求人応募、募集内容の問い合わせ、職場見学の申込みなど、主要な行動を決める。
- 訪問前の情報:広告や投稿で何を伝えるか。その約束がLPの冒頭と条件欄でも一致するか。
- 応募先:自社フォーム、求人媒体内の該当求人、電話など。受付部署と対応できる時間を決める。
- 更新担当:募集条件の確認者、原稿の承認者、ページ更新者、募集終了時の対応者。
たとえば「日勤の配送職」を案内する広告から、夜勤を含む全職種共通ページへ誘導すると、求職者は対象の求人を探し直すことになります。日勤募集の説明と対応する応募先がすぐに分かる構成にします。別の行動も用意する場合は、「求人に応募する」「仕事内容について質問する」などボタンの意味を分けてください。
手順2:原稿の根拠と写真を集める
先に集めるのは、強そうなキャッチコピーではなく、確認できる事実です。原稿の各項目に「確認元・確認した人・確認日」を対応づけると、修正時に判断をやり直す範囲が分かります。
- 仕事内容:現場責任者に、最初に任せる業務、一日の流れ、例外や負担を確認する。
- 労働条件:人事・労務担当が確認した募集要項を正本にする。別職種の条件を混ぜない。
- 教育・資格支援:制度の名称だけでなく、対象、利用条件、費用負担、指導する役割を確認する。
- 社員の言葉:本人が話した内容と、掲載用に編集した文章を区別し、公開前に確認してもらう。
- 写真・動画:実際の職場を説明する素材を選び、撮影対象・使用権限・掲載範囲を確認する。
「残業が少ない」「誰でもすぐに活躍できる」といった表現は、そのまま採用しません。数値を使うなら対象職種、集計期間、集計方法を示せるかを確認します。制度が未確定なら、実施済みのように書かず、条件の確定を先に進めます。
社員写真は掲載先と使い方まで確認する
本稿の実務上の推奨は、撮影への了承だけで終わらず、LP掲載、SNS投稿、広告への転用、掲載期間、編集範囲、退職後の扱いを本人と確認し、記録することです。顔や名札だけでなく、取引先名、車両番号、図面、端末画面の映り込みも確認します。撮影用素材を使う場合は、実際の社員・現場と誤解させない説明を添えます。
取材の質問や収録準備は採用動画の社員インタビュー質問18選を参考にしてください。LPではすべてを載せず、今回の職種の判断材料になる部分を選びます。
手順3:採用LPを8つのブロックで構成する
以下は本稿の構成例です。固定の正解ではありませんが、「何の募集か→自分にできるか→条件が合うか→応募後どうなるか」の順で読めるようにします。会社紹介だけが続いて仕事内容にたどり着けない構成は避けます。
- 冒頭:会社名、募集職種、勤務地、雇用形態と、今回の仕事を表す短い見出し。募集要項を読む導線も置く。
- 仕事内容:担当する仕事、一日の流れ、扱う車両・設備や作業範囲。通常時と例外を分ける。
- 募集要項:給与、時間、休日、業務・勤務地などを、今回の募集単位で一覧できる形にする。
- 現場・社員:仕事の様子が分かる写真と説明、対象職種の社員の言葉。写真だけに判断を委ねない。
- 入社後の教育:最初に行う業務、教える担当、資格取得支援の条件、任せる範囲の広がり。
- 選考の流れ:応募から連絡、面接、必要に応じた見学など。実施していない選考や対応期限を約束しない。
- よくある質問:求職者から実際に聞かれる点や、本文だけでは誤解されやすい点を補う。
- 応募先:対象求人が分かるボタン、受付方法、応募後の連絡案内、個人情報の利用目的を確認する導線。
そのまま制作指示に使うなら、ブロックごとに原稿と素材を結び付ける
「仕事内容を充実させる」だけでは制作指示になりません。たとえば仕事内容のブロックには「見出し:一日の配送の流れ/本文:点呼から帰庫まで/写真:積込み場所/確認者:運行担当/未確定:繁忙期の扱い」と書きます。未確定事項は編集メモに分け、公開原稿へ混ぜません。
スマートフォンでは、募集条件を画像だけにせず文字でも読めるようにします。重要な注記を小さくしたり、横に長い表へ詰め込んだりせず、項目と説明を縦に並べる方法も有効です。応募ボタンを上部と下部に置く場合も、どちらも同じ募集に対応させます。
募集要項で省かない情報
厚生労働省の募集時の明示事項に関する資料では、業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業・休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称などが示されています。派遣労働者として雇用する場合は、その旨の明示も必要です。
2024年4月からは、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)が追加されています。固定残業代を採用する場合は、それを除く基本給、対象時間数と金額、超過分を追加支給する旨も区別します。
LPの募集要項は、担当者が確認した最新の条件と照合してください。「詳細は別ページ」と書くだけで、必要な明示が済むと考えないことが大切です。本稿ではLP内でも募集条件を確認でき、応募先の条件と一致する設計を勧めます。募集情報は正確かつ最新の内容を保ち、条件変更や募集終了時には関連ページも更新します。募集時の表示は、契約締結時の労働条件通知に代わるものではありません。
なお、同リーフレットでは、求人広告のスペース不足などやむを得ない場合には、その旨を付したうえで条件の一部を別のタイミングで明示できるとされています。この場合も、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。LPではこの例外を前提に省略せず、必要な条件を確認できる構成にしておきましょう。
参照:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」、求人企業向けリーフレット(1〜2ページ)。
運送・建設の構成と原稿の架空例
以下は構成を説明するための架空例です。実在企業の募集、取材結果、採用実績ではありません。募集要項をすべて記載した完成例でもないため、そのまま求人として掲載せず、自社で確認した条件に置き換えてください。
運送会社:地場配送の仕事を具体化する
想定する募集:A営業所の正社員・地場配送ドライバー。原稿では、配送エリア、車両、荷物、積み降ろし、勤務時間、必要免許を揃えます。
冒頭の見出し例:「A営業所の地場配送ドライバー募集」
仕事内容の本文例:「A営業所を起点に店舗へ配送します。出勤後は点呼・車両確認・積込みを行い、帰庫後に報告します。台車を使う納品先と手降ろしを行う納品先があります。」
この文だけでは応募判断に足りません。担当者は配送範囲、車両に必要な免許、出退勤の時間帯、残業、荷扱いの具体的な内容を確認し、仕事内容と募集要項に追記します。「日帰りだから残業なし」「台車使用だから手作業なし」と勝手に読み替えないことがポイントです。
素材と並び順:冒頭→配送・荷扱い→募集要項→車両や積込み場所の写真→同乗など教育の実施内容→選考・FAQ→「A営業所の募集に応募する」。写真は説明する車両や業務と対応させ、別拠点の素材ならその旨を示します。
建設会社:施工管理補助の仕事と教育を分ける
想定する募集:B拠点の正社員・施工管理補助。現場作業員の募集と混ぜず、最初の担当業務と、その後に任せる範囲を整理します。
冒頭の見出し例:「B拠点の施工管理補助を募集」
教育ブロックの本文例:「入社後は安全教育を受け、担当者の指導のもとで写真整理や書類作成の補助から始めます。現場で担当する業務は、資格の要否と習熟状況を確認して決めます。」
実際にこの教育ができる担当者と手順があるかを確認してから使います。現場の地域、集合場所、出張、移動の扱い、就業時間、休日、資格支援の条件も必要です。「未経験可」を、教育なしで作業できる、資格が必要な業務もすぐに任せられる、という意味にしないよう注意します。
素材と並び順:冒頭→補助業務と担当範囲→募集要項→教育と指導体制→安全に配慮した現場写真→選考・FAQ→「施工管理補助の募集に応募する」。FAQは「最初に担当する仕事」「出張の有無」など、確認済みの事実で答えます。
手順4:応募ボタンから受付・連絡までを設計する
応募ボタンは目立たせるだけでなく、押した後の画面まで確認します。外部の求人媒体へ移動するなら、会社のトップではなく該当求人に着くか、ログインが必要か、募集が終了していないかを点検します。職種選択が必要なフォームでは、LPで読んだ募集を選べるかも確認してください。
フォームの項目は、採用選考や連絡に必要なものを担当者と検討します。初回に必要な情報と、選考が進んでから確認する情報を分け、必須・任意を明示します。入力者が項目名を見失わないよう、説明を入力欄内の薄い文字だけで済ませない設計が適しています。
個人情報保護委員会の通則編は、利用目的をできる限り具体的に特定すること、本人が入力画面などへ記入する方法で直接取得する場合には、あらかじめ利用目的を明示することを示しています。送信前に、採用選考・連絡など実際の利用目的を確認できる配置にします。チェック欄があることだけで、利用目的の説明や情報管理が整ったとは判断しません。
受付後は、通知を受ける担当、担当不在時の確認方法、応募者へ案内する連絡の目安を決めます。応募者情報の閲覧権限と保管先も確認し、制作会社へ共有する画面見本や公開資料には実データを使いません。
参照:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-1、3-3-4、3-4-2。
手順5:公開前に確認する12項目
原稿担当者だけでなく、初めてページを見る人にも「何の仕事で、どの条件で、どこへ応募するか」を探してもらいます。PCとスマートフォンの両方で、次の項目を確認してください。
- 募集の一致:入口の広告・投稿、LP、応募先で職種、勤務地、雇用形態が一致している。
- 条件の正確さ:募集要項を最新の確認済み原稿と照合し、必要な明示事項や更新情報が揃っている。
- 根拠と権利:数字の対象期間、社員の掲載確認、写真・動画の使用範囲、映り込みを確認した。
- 文字と表:横スクロールや文字切れがなく、小さな注記や表も拡大せず読める構成になっている。
- 画像:本文だけでなく一覧カードやSNS共有用画像でも、画像が表示され、顔・ロゴ・文字が不自然に切れない。
- 移動と速度:画像・動画の読込みを確認し、主要な情報とボタンが待たされず見つかる。リンク先も開く。
- 応募先:各ボタンから意図した求人に進める。戻る操作を含め、別職種や終了求人へ迷い込まない。
- 入力画面:項目名、必須表示、エラー案内、キーボード操作を確認する。未送信の入力エラーを応募完了にしない。
- 情報の取扱い:送信前に利用目的を読め、受付後の閲覧担当・保管先・連絡方法が決まっている。
- 受付と通知:許可されたテスト環境・テスト手順で、受付記録、担当者通知、自動返信、完了画面を確認する。
- 計測:ボタンクリックと受付成功を分け、連打や再読込みによる重複を確認する。テストは広告成果や実応募へ混ぜない。
- 公開設定:ページタイトル、検索向け説明文、代表URL、検索に載せる設定、一覧からの導線、更新担当を確認する。
テストのために実在の応募者情報を使ったり、本番フォームへ無断送信したりしないでください。テスト送信を行う場合は管理者と方法を決め、通知先や広告計測への影響を切り分けます。公開後も実際のURLを開き、プレビューと同じ条件・画像・リンクになっているかを確認します。
公開後はクリック・応募完了・有効応募を分けて見る
応募ボタンのクリックは、応募が受理されたことを意味しません。LP閲覧、応募先への移動、受付に成功した応募、選考対象として確認できた有効応募、面接、入社を区別します。有効応募の定義は、重複や対象外などの扱いを含め、社内で先に決めます。
自社から外部の求人媒体へ送客する場合は、取得できる計測の範囲も変わります。応募完了を確認できないなら、「クリック数」を「応募数」と書き換えず、媒体側で取得できる受付情報と分けて管理します。集計の定義や歩留まりの計算は採用KPIの設定方法で確認できます。
LPを直すときは、変更日と内容を残し、流入経路や募集条件が変わっていないかも確認します。応募が少ない理由をすべてデザインのせいにせず、入口の不足、仕事内容の伝わり方、条件、応募後の対応を切り分けてください。
外注する場合は、制作費だけでなく担当範囲を確認する
見積りは、構成・原稿、写真・動画、デザイン、実装、フォーム連携、計測、公開後の更新に分けて比較します。撮影、広告費、サーバーなどの維持費がどこまで含まれるか、原稿修正の回数、素材とアカウントの引継ぎも確認してください。一律の制作相場や「作れば応募が増える」という説明だけでは、自社で必要な作業を判断できません。
社内で先に揃えるものは、募集単位、確認済みの条件、使える素材、応募先、更新責任者です。この5つがあれば、制作側と「何を作り、誰が確認するか」を具体的に話せます。
採用LPと応募導線を整理したい企業の方へ
採用LPは、確認済みの仕事内容・条件を、求職者が読みやすい順に並べ、正しい応募先へつなぐページです。まず一つの募集について構成を作り、情報・表示・受付・計測を順に確認しましょう。
ジョブプロマーケの業界別支援は、運送業の採用支援相談、建設業の採用支援相談から確認できます。これらは企業の採用支援に関する相談窓口であり、求職者の求人応募フォームではありません。相談時は、既存の採用ページ、募集職種、現在の応募経路を整理しておくと、必要な支援範囲を検討しやすくなります。
制度に関する参照確認日:2026年9月17日。構成例とチェックリストは本稿の実務提案であり、行政の指定様式ではありません。