採用単価を比較するという文字と、電卓・書類・ヘルメットを置いた建設会社の机の架空イメージ

建設業の採用単価を比較する方法|費用範囲・社内工数・集計期間をそろえる

求人媒体の請求額は少ないのに、現場責任者の面接や応募対応に時間がかかっている。外注先から示された採用単価と、自社で計算した金額が合わない。建設業の採用費を見直すときは、まず「何の費用を、誰の入社人数で割ったか」をそろえる必要があります。

この記事では、建設会社の経営者・採用担当者に向けて、求人媒体や外部支援に支払う費用と社内工数を整理し、同じ条件で採用単価を比較する方法を解説します。媒体別の料金相場や成功事例の紹介ではなく、自社の請求書・作業記録・応募受付記録から判断するための手順です。

本記事では「採用単価」を、対象となる応募者群から実際に入社した1人あたりの費用として扱います。内定・承諾・入社は分けて数えます。後半の金額・人数・期間はすべて計算用の架空例であり、業界相場、実在企業の成果、ジョブプロマーケの料金・支援実績ではありません。

1.請求される費用と、社内で使う時間を分ける

「広告費のみの採用単価」と「社内人件費まで含む採用単価」は別の数字です。どちらかだけを正解とせず、支出の比較には社外費用、担当者の負担も含む比較には社内工数の換算額を併記します。

費用を集めるときの確認項目
区分 集める項目の例 比較前の確認
募集・集客の社外費用 求人掲載料、広告費、スカウト利用料など 対象求人・利用期間・税の扱い。請求の内訳に広告実費が含まれるか
制作・運用の社外費用 求人原稿、採用ページ、写真・動画の制作費、運用委託費など 初期費用と継続費用、他職種との共用、別料金の作業。項目名だけで業務範囲を決めない
成果などに応じる社外費用 契約上発生する紹介手数料など 発生条件、対象者、請求時期、返金条件。契約・明細で確認する
社内工数の換算額 求人の準備、応募連絡、面接、現場見学の案内、委託先との確認に使った時間 担当者別の実作業時間と換算単価。2人で1時間面接した場合は合計2人時

社内工数は、例えば「担当者別の作業時間×社内で定めた1時間あたり換算単価」を合計します。換算単価に何を含めるかを社内で決め、月や経路によって変えないようにします。勤務時間内の作業を換算した金額は、必ずしも同額の追加支出や、外注した場合の現金削減額を意味しません。

費用の二重計上にも注意が必要です。運用委託費に広告実費を含む請求書なら、内訳を確認せず広告費を足すと重複します。社内人件費は実額方式と時間換算方式を同じ対象作業に重ねません。

入社後の教育費や欠員による損失の見積もりは、採用活動費とは別枠にすると内訳を追いやすくなります。含めて比較する場合は、その範囲と算定方法を明記し、含めない過去の単価と直接比較しないでください。

2.応募期間・費用の対象期間・入社確認日を対応させる

4月に支払った広告費を、4月に入社した人数で割るだけでは、その広告で集まった応募者の採用単価とは限りません。入社者が3月以前の応募者なら、費用と人数の対象がずれているためです。

経路の比較では「4月に、ある職種・勤務地へ応募した人」のように、同じ応募者群を追います。この集団をコホートと呼びます。その応募獲得と選考に対応する費用を集め、いつ時点の入社結果なのかを記録します。

  • 募集条件:施工管理と建設作業員、経験者と未経験者、勤務地が違う求人は分けて確認する。
  • 応募対象期間:受付開始日・終了日と、重複を除いた対象者を固定する。問い合わせだけの人は応募者に混ぜない。
  • 対応する費用:広告の利用期間、選考対応の実施日、制作費の配賦対象を記録する。支払日だけで対象を決めない。
  • 入社確認日:入社済み・入社予定・選考中を分ける。未請求の費用がある場合も確定値としない。
  • 経路のルール:重複応募の扱いを決める。応募受付経路による分類と、本人が答えた認知経路は別に残す。

募集終了後に面接や紹介手数料が発生する場合、その対象応募者群の費用へ反映します。後から請求・返金が確定したら、更新日と変更理由を残して再計算します。月次の支払総額は資金管理用として別に持つと、応募者群別の比較と混同せずに済みます。

共用の制作費は、配賦方法と全額を両方残す

複数の求人で使う採用ページや写真は、経路別に直接ひも付かないことがあります。対象求人へ均等に分けるなど、管理上の配賦ルールを事前に決め、その根拠と配賦前の全額を残します。採用できた経路だけへ後から費用を寄せると比較条件が変わります。

一度制作したページを次の募集にも使う場合も、初回募集で全額負担した単価と、制作費を含めない次回の単価では範囲が違います。今回の支出額と、比較用に配賦した費用を分けて表示してください。ここでの配賦は採用施策を比較するための管理方法であり、会計・税務処理の指定ではありません。

3.架空例:広告費だけなら安い経路も、総額で再確認する

次は説明用に作った架空の確定結果です。ある建設会社が、同一勤務地・同一条件の建設作業員を2経路で募集したと仮定します。比較条件は次のとおりです。

  • 応募対象期間は4月1日〜4月30日、入社確認日は6月30日。対象応募者の選考・入社結果は全員確定し、対応費用も確定している。
  • 重複を除いた応募はA経路12人、B経路8人。経路間の重複はなく、入社はそれぞれ2人。過去の応募者は含まない。
  • 広告費は4月の対象募集分。社内時間は準備から6月30日までの対象者への選考対応を含み、他求人の作業を除く。
  • 共用原稿の制作費6万円は、この2経路の募集だけで使用したものとし、事前に各3万円へ均等配賦する。
  • 社外費用は税抜で統一。社内工数は全担当者の合計人時を使い、一律3,000円/人時で換算する。これは仮の管理単価であり、賃金相場ではない。
  • 紹介手数料・その他の社外採用費・追加社内作業は、この例では発生していない。入社後教育費は対象外とする。
架空の2経路比較:金額は円、単価は円/入社者1人
項目 A経路 B経路
広告費 120,000円 180,000円
運用委託費(広告実費を含まない) 60,000円 60,000円
共用制作費の配賦額 30,000円 30,000円
社外費用の合計 210,000円 270,000円
社内工数 50人時 20人時
社内工数の換算額 50人時×3,000円/人時=150,000円 20人時×3,000円/人時=60,000円
社外費用+社内工数換算額 360,000円 330,000円
対象応募者からの入社人数 2人 2人
広告費だけの採用単価 120,000円÷2人=60,000円/人 180,000円÷2人=90,000円/人
社外費用での採用単価 210,000円÷2人=105,000円/人 270,000円÷2人=135,000円/人
社内工数を含めた採用単価 360,000円÷2人=180,000円/人 330,000円÷2人=165,000円/人

A経路は社外費用がB経路より6万円少ない一方、社内工数は30人時多くなっています。換算額も含めるとB経路が合計3万円、入社1人あたり1万5,000円少ない計算です。両経路を合算すると、社外費用48万円+社内工数換算額21万円=69万円、入社4人なので、17万2,500円/人となります。

ただし、この結果だけで「Bへ予算を移せば採用費が下がる」とは判断できません。入社人数は各2人の架空例であり、予算を増やした次回も同じ人数や工数になる保証はありません。Aで時間を使った作業の内訳を確認し、社外支出を抑えたいのか、現場責任者の時間を確保したいのかを分けて判断します。

4.入社0人・選考中・未確認は、単価を分けて表示する

入社0人の場合、費用を0で割れないため、採用単価は定義できません。「0円」ではなく「算出不可(入社0人)」と表示し、費用総額と対象人数を併記します。安く採用できたという意味にはなりません。

選考中や入社予定の人が残る場合は、確認日を付けて「暫定」とします。入社が確認できていない人を、単価を下げるために入社人数へ加えないでください。人数が未入力なら「未確認」であり、確認済みの0人とは別です。

また、請求書が未着で費用が確定していなければ、「人数は確定、費用は見込み」と明記します。見込み費用を含む単価と確定単価を並べるときは、その違いが分かる表示にします。入社後の在籍状況を評価する場合は、入社単価とは別に、同じ経過期間で確認した対象者と結果を管理します。

5.比較結果から、次に変更する費用・作業を選ぶ

単価の大小が分かったら、金額差を作っている項目へ戻ります。比較表は媒体を順位付けするだけでなく、支出と社内負担のどちらを調整するかを決めるために使います。

  • 社外費用が増えている:広告量の増加、初期制作、追加作業などの内訳を確認する。一時費用と継続費用を分け、次回も発生するものを把握する。
  • 社内工数が多い:面接時間だけでなく、連絡の再対応、日程の組み直し、求人情報の修正などを作業別に集める。時間の多さだけで不要な仕事と決めない。
  • 入社人数が少ない:募集条件の違いや選考途中の有無を確認する。採用基準を下げて単価だけを改善する判断には使わない。
  • 外部へ作業を移す:追加料金と、社内に残る確認・判断・連携時間を見積もる。委託範囲が増えても社内作業がゼロになるとは限らない。

施工管理の面接に現場責任者が同席するなら、その時間も比較対象です。ただし専門的な確認を省くのではなく、事前資料や日程調整の手戻りを整理するなど、選考に必要な作業を維持した変更を検討します。求人票から選考・定着までの具体的な見直しは、施工管理採用の改善手順をご覧ください。

次回比較のために残す記録

比較表には「職種・勤務地・経験条件/応募対象期間/入社確認日/入社人数・進行中人数/経路分類/費用明細と対象期間/税の扱い/制作費の配賦方法/社内時間と換算単価/確定・見込みの区分/変更内容」を残します。請求書の管理番号や作業記録の所在も付ければ、後から金額をたどれます。

次の募集では、変更前後で費用範囲と集計方法を維持します。条件が変わった場合は、その差を明記してください。採用単価が下がったとしても、募集職種や人数、社内負担が変わっていれば、単一の施策の効果とは断定できません。

よくある質問

建設業の採用単価はいくらなら適正ですか?

この記事では一律の適正額を示しません。まず自社の職種・勤務地・経験条件が近い募集を、同じ費用範囲と入社基準で比較します。予算内でも必要な人を期限までに採用できていなければ、単価だけで計画の達成を判断できません。

無料の掲載や自社SNSなら採用費は0円ですか?

掲載料が発生しなくても、原稿や投稿の作成、写真撮影、応募対応に社内時間を使っていれば、社内工数まで含む費用は0円ではありません。「掲載料0円」と「採用活動全体の費用0円」を分けて扱います。

広告の管理画面に出る単価を、そのまま採用単価にできますか?

管理画面で何を成果として数えているかを確認します。クリックやフォーム送信の単価は、実際の入社1人あたり費用とは異なります。本記事の採用単価には、重複を整理した応募受付記録と、その応募者の入社確認が必要です。

採用単価の見直しは、同じ範囲で費用を集めることから

建設業の採用費を比較するときは、社外への支払いと社内工数を分け、対象応募者群に対応する費用を集めます。内定ではなく入社を分母にすること、費用と人数の確定状況を示すこと、共用費の配賦ルールを残すことが比較の土台です。

そのうえで「支出を抑える」「社内負担を調整する」「必要人数を採用する」という目的を分けて、次に見直す項目を決めましょう。単価の低さだけで、採用経路の継続や停止を決めないことが大切です。

建設会社の経営者・採用担当者の方へ

相談前に、募集職種・勤務地・対象期間と、分かる範囲の費用内訳・応募人数・入社人数を整理しておくと、現在の課題を伝えやすくなります。支援内容や対応範囲は、案内ページと個別の相談で確認してください。

企業向け|建設業の採用支援・相談窓口を見る

リンク先は企業向けの採用支援の案内です。求職者が求人に応募する窓口ではありません。


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